UHF帯RFIDの急速な普及
RFID(Radio Frequency IDentification:無線による自動認識技術)は、ICタグ、電子タグ、RFタグなどとも呼ばれ、2003年8月に総務省が「2010年には最大31兆円の経済波及効果が見込まれる」という趣旨の発表(ユビキタスネットワーク時代における電子タグの高度利用に関する調査研究会がまとめた中間報告)をして以来、日本国内で一般に広く注目されるようになりました。 その当時は、RFIDで利用される周波数帯のうち135KHz、13.56MHzなど周波数の低い帯域が普及し始めており、国内では現在も13.56MHzを利用するRFIDが市場の過半を占めていましたが、その一方で2005年にUHF帯RFIDが使用できるようになり、周波数が比較的高い故に
(1)通信距離を長くできる
(2)波長が短いためタグを小型化できる
ことから、普及が進んできました。欧米では早い時期から物流シーンでの適用が進み、現時点でUHF帯RFIDの使用が過半を占めており、今後も急速な普及が予想されています。 日本国内ではUHF帯RFIDが使用できるようになった当初の数年間は限られた先進的な企業様の導入のみでしたが、近年ではUHF帯RFIDを自社現場の見える化(自社システムのフロントエンド)のキーテクノロジーとして採用される企業様が増え、それにつれてRFID技術が成熟しかつ製品コストが下がり、UHF帯RFID導入による投資効果がかなり見込めるようになってきました。
『UHF帯RFID導入ガイド』の目的
当社含め富士通グループでは、2003年よりUHF帯RFIDの将来性、適用分野の広さに着目し、幅広い業種ソリューションに組み入れるべくUHF帯にフォーカスしたRFID製品開発を進め、多くの企業様でUHF帯RFID導入のお手伝いをしてきました。それらを通して、UHF帯RFIDが優れた自動認識技術であること、それ故に各企業様において多様な適用シーンがあることを実感してきました。
しかし、
(1)従来のバーコードに代表される光学的な認識技術とは異質の(電波を利用する)技術であり、その考え方や対処方法が一般化していないこと。
(2)タグの読み取り距離が比較的長く、読み漏らしだけでなく読み過ぎ(不要なタグまで読み取ってしまう)、もしくは電波の干渉が起きること。
(3)世の中に公開されている、実導入の参考になる(有用な)情報がまだまだ多くはないこと。
などから導入に二の足を踏んでおられる企業様も多いのが実情です。
RFID導入に関する企業の問題点
当社のWebサイトでも、RFID製品のご案内を各種取り揃えていますが、これらをどう活用すれば良いのか、すなわち「現場見える化を実現するための具体的な段取りや製品選択基準、RFID適用ノウハウ、留意すべき事項」などを発信しておらず、RFIDの使いこなし方法について多くのご質問をいただいております。